名曲『アンパンマンたいそう』について
日本人なら誰もが知っているアニメ『アンパンマン』。
大人になってもアンパンマンのオープニングとエンディングは頭に強く刷り込まれていて、たまに鼻歌が漏れ出てしまうこともあります。
『勇気りんりん』の端的かつウィットに富んだキャラクター紹介やアンコラをぶっこむセンスも好きですが、やっぱり『アンパンマンのマーチ』と『アンパンマンたいそう』は凄いですよね。
メッセージ性が強い。
どちらも歌詞の中で辛さや苦しさを歌った後に、でも人に優しく、強く生きていくんだぞというこれから大人になっていく子どもたちへのエールを強く感じます。
改めて聴くと凄くいいです。『アンパンマンたいそう』
特にAメロ。
ちょっと引用しますか。
アンパンマンたいそう Aメロ
もし自信をなくして くじけそうになったら
いいことだけ いいことだけ 思いだせ
近年はよく聞きますよね。ポジティブシンキングの大切さ。
真面目な人ほど自分へ高い期待をしてしまったり、上手く行かない現実に打ちのめされて凹んじゃうんですよね。
でも何もしていなかったら何も思い悩むことはないのです。
きっとなにかに挑んだ結果、あぁ自分は駄目な奴だと思い悩んでしまうんですね。
でもそこでくじけては駄目だと。
そこまでの道のり、良いこともいっぱいあっただろう。
人は悪い点を注目しがちだけど、それを思い出せよ。
そんな1番。
大事なもの忘れて べそかきそになったら
好きな人と好きな人と
手をつなごう
そして2番。場面が移ります。
今度は大事なものを忘れてしまった時。
大事なものってなんだという話ですが、好きな人と手を繋ぐことの対局にあるものと考えられます。
月並みな感想になるかもしれませんが、やっぱり金とか名誉に目がくらんで他を顧みないといった状況が思い浮かべられます。
結局人として大事なのは人と人の繋がり。LOVE、愛やで。
子どもたちへのそんな強いメッセージ。
楽しいこといっぱい でもさびしくなったら
愛すること愛すること すてないで
3番のAメロは2番をさらに強める内容ですね。
大事なものを忘れて泣きたくなる2番から、楽しいはずなのに寂しいという3番。
ちゃんと仕事もして、プライベートも充実してるつもりだけど、なんだろう満たされない。
そんな状況を打破するのもやっぱり愛だと、やなせたかし氏はそう言うわけですね。
これはもちろん異性愛ではなく、人間愛でしょう。
思えばアンパンマンって愛の戦士なんですよね。
愛の戦士アンパンマン
アンパンマンってバイキンマンと戦っているイメージも強いですが、基本的にはパトロールをし、困った人を助けるという役割がメインですよね。
迷子で泣いている子、お腹を減らしている子、いろんな困りごとがありますが、アンパンマンは決まって自分の顔を割って、困っている人に分け与えます。
顔が濡れると力が出ないことからわかる通り、アンパンマンは顔のアンパンこそが力の源、命と言えましょう。
その命ともいえるアンパンを迷うことなく分け与えられるのは、アンパンマンが地域住民のことをそれこそ心から愛しているからとしか言えません。
自分よりみんなの方が大切に思えるくらいなんです。利他の心。
愛の戦士アンパンマン。
そんなアンパンマンを見ていると、「アンパンマンは君さ」というサビのフレーズはけっこう厳しく感じてしまいます。
誰かの為に苦労したり、苦しんだり出来るかいって話ですからね。
今の時代って、いかに上手く生きるか。
なるたけスマートに、もっと言えばクレバーに生きたほうが得じゃんっていう方向にシフトしています。
でもそれだけじゃないよね、愛に触れたら愛を返したくなるよね。
善意って連鎖するでしょ。
人間愛が作品のテーマなのだろうか。
アンパンマンに人間出てこないけど。
アンパンマンは君さに応えられるのか
アンパンマンは君さ。
重く受け止めても仕方がない。
大切なのはアンパンマンへと向かう意思。
1歩ずつ正しい方向に進めばいいんです。
歌の中でも言ってくれています。
「アンパンマンは君さ。信じることさ」
その通り!我こそがアンパンマン!東の果てよりこの地に来た!
頭のアンパンを分けることは出来なくたって、電車でお年寄りに席譲るとか、同僚の重い荷物を持ってあげるとか。
そういった小さな積み重ねが大事ってことだろう、多分。
そしたらね、みんな優しいヒーローだとも。
アンパンチは使えなくとも、空は飛べなくとも。
心の中でアンパンマンたいそう流して、アンパンマンになれるよう人に優しくしようと思う。
少年よ、お主もいつかわかる日がくる、そなたがアンパンマンじゃ。
おじーでした。